
台風の到来で一度は断念しましたが、再度挑戦ということで、10月下旬屋久島を訪れました。
1993年世界遺産に登録されて以来ますます屋久島の人気は高まり、今では年間30万人ちかくの観光者が訪れるほどになっています。また、NHK朝のTVドラマ「まんてん」で一層全国にその名を広めたことはご存知の通りです。屋久島は全島で1万4000人程度の島ですが、亜熱帯の黒潮暖流から立ち昇る水蒸気が九州の最高峰「宮之浦岳」(1936メートル)を有する険しい山岳の峰に当たり霧や雲となって大量の雨を降らせ、「ひと月に35日雨が降る(年間9000ミリ)」と言われるほど雨の多い島です。実は私が屋久島と関係したのはこの「雨=水」が最初でした。今から20年前のことですが、アラブの石油を日本へ運ぶタンカーは往路カラ輸送なので活用方策はないものかと昭和57年頃研究会が発足。そこで出てきた妙案が屋久島の「水」をアラブ諸国に輸送しようというもので、商社や船会社も乗り気でしたが、水利権の調整やインフラ整備コスト負担等の調整に手間取り、結局夢に終わりました。それから20年以上経過してやっと屋久島を訪れる機会に恵まれ、「水」ではなく「観光」と「環境」で新たな縁を結ぶことが出来たと思っています。土建業や農林水産業でこの島の生活の将来ヴィジョンを描くことは困難で、どうしても観光振興を柱にせざるを得ません。自然は世界遺産に登録されるほど恵まれています。樹齢2170年以上(7200年と言われた学者もおられます)といわれる「縄文杉」を始めとする「巨木の森」、「大川(おおこ)の滝」「千尋の滝」を始めとする急流渓谷、海亀の産卵する海浜、さんご礁と熱帯魚の美しい海中、山岳地帯での冬の積雪美等枚挙に暇がありません。「世界遺産」や「まんてん」の人気もあって、今後さらに人は訪れるでしょう。しかし屋久島観光は今日既に黄信号が点滅しています。それは多くの訪問者が落としていく「ごみ」と「し尿」の処理問題です。例えば「百名山ブーム」も相俟って「宮之浦岳」登山者は急増していますが、それに伴い、高地に設置されているトイレの「し尿」処理には多くの労力とコストがかかるようになり、地元は悲鳴をあげています。また、自然環境が売り物の屋久島で燃える「ごみ」だけでも一日約4トンの「ごみ」が吐き出されています。通称「ダイオキシン特措法」の施行もあって高性能・高容量の廃棄物処理施設の新たな整備が厳しい財政状況のなかで急務とされています。これらの課題解決を含めかけがえのない世界遺産である屋久島の自然環境を守り育てていくための財源に関する具体的措置を講ずる必要性を痛感しました。訪れる者も観光資源の保全・育成のために金銭的負担をするというエコツーリズム本来の考え方を活かす絶好のモデルケース(特区)にすべきだと思います。その具体的なアイデアとして、屋久島を訪れる観光者(入島者)に、環境保全負担金(税)として「入島料(税)」をお願いすることを検討する段階に来ていると思います。「サステナブル・ツーリズム(持続可能な観光)」に基づく観光立国の政策理念を一歩一歩具体化していくために、微力ながら私もこの思いを各方面に訴えていきたいと思います。
今回の屋久島訪問で私が最も感動し学んだことのひとつに、廃棄物処理が単にゴミを焼却・減容化するためばかりでなく、社会的有用物の創生を目指す所謂リサイクル技術の開発にまで進展させたという、まさに「科学技術立国日本」ならではの現場を目の当たりにしたことです。具体的に申し上げると、スエズ運河を開削して世界にその高い技術を示した五洋建設が、この屋久島で実験を進めている港湾建設技術とは無縁の「焼却灰再資源化プロジェクト」です。有害物を含む焼却灰を粒状化し、熱処理して無害化することにより、自然砂礫の代替材として土木資材、環境資材(屋上緑化材、水質浄化材等)として実用化し、ゼロエミッションに貢献しようとするものです。まさに、世界に誇る自然遺産を有する屋久島にふさわしい取り組みと言えるのではないでしょうか。
今回たくさんの感動を頂きましたが、またいつか屋久島を訪れ、縄文杉までこの足で挑戦し、新たな感動に身を震わせたいと思っています。