「東北の観光王」と称えられた高橋行雄氏(享年89歳)の告別式が9月28日三沢市の古牧温泉で2500名の参列者を迎えて厳かに執り行なわれ、私も先の選挙で色々お世話になったこともあり参列させていただきました。十和田湖周辺と奥入瀬渓流一帯それに古牧温泉の一体的なリゾート開発という大事業を、55歳からの第二の人生として成し遂げられたことを知り、同じ55歳の私に「頑張れ」と励まされているように思えました。杉本氏は「人間の素晴らしさは自分をつまらぬ存在と思わぬこと」と言われたそうですが、今の私にはとても勇気を与えてくれる言葉です。一昔前十和田湖への青森、秋田からの既存ルートは冬の積雪期間は通行不能でした。そこで三沢方面からは通行が可能であることに着目し、新ルートづくりのためベースとなる三沢での温泉試掘というチャレンジを敢行され、古牧温泉の開発が始まったと聞いています。放置されていた三沢駅前の湿地帯によくぞ命運を賭けられたものぞと感心します。小佐野賢治氏が東北新幹線ルートの裏情報を得て杉本氏に買収の話を持ちかけても「小川原湖民俗博物館を守ることが主人であった渋沢敬三氏への恩返し」と言って首をたてに振らなかったと言われていますが、成功の裏にはその人の人間性がものをいうと実感しました。「観光とは学ぶこと」「十和田に来てただ美しいと思って帰って頂くのではすぐ飽きられてしまう。十和田湖が世界に冠たるカルデラ湖であることも知らないで帰すのは本当の観光ではない」という杉本氏の言葉があります。まさに自然の摂理を学び、自然の力を肌で感じ取る、そこに本当の感動が生まれ、こんな素晴らしい自然を与えられたことに感謝する心が芽生えると思われたのではないでしょうか。十和田科学館、小川原湖民俗博物館といった自然を学び地域の歴史風俗を学ぶ機会を、事業の核として提供されていることこそ、観光事業に対する杉本イズムの真骨頂だと思い知らされた告別式でした。訪れる人からも地元に住んでいる人からも慕われた杉本行雄氏のご冥福を心からお祈りいたします。

 その杉本氏が晩年心血を注がれたのがミニ新幹線問題でした。盛岡から青森の間を秋田新幹線のようにミニ新幹線で沿線住民の多い在来ルートを走らせようと運動され、当時の北村知事と対立されたことは周知の事実です。昨年12月新幹線は八戸まで延伸し、「はやて」に乗れば、東京―八戸3時間10分と以前より1時間半も早くなりました。これから先のルートが青森そして函館・札幌まで延伸すれば、フル規格の威力で北東北と道南が一体となった観光ルートの形成が夢ではなくなり、首都圏その他からの観光交流が爆発的に拡大して、ミニを主張された杉本氏の願いであった青森全体の発展に繋がると信じて止みません。

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